第2章 基本公式と視覚的証明
Σ計算の武器になる4つの公式。丸暗記ではなく「図で見える理由」ごと身につけよう。
基本公式は、規則的に増えるものを一気に集計する道具です。座席を段ごとに増やす会場、積み上げた箱、1日ずつ増える作業量の合計など、「全部書き出すと長いけれど規則はある」場面を短く計算できます。
1覚えるべき4つの公式
① は第1章で見たとおり「$c$ を $n$ 回足すだけ」。②〜④ を、これから図で確かめていきます。
- ③ は「② の分子に $(2n+1)$ が増えて、分母が 6 になる」
- ④ は「② をまるごと2乗」— これは偶然ではなく、図で理由が見える!
2② $\sum k$ — ガウスの階段
$1+2+\cdots+n$ をブロックの階段で表し、同じ階段をもう1つ、逆さにして重ねると長方形になります。 スライダーで $n$ を変えて、「▶ 重ねる」を押してみよう。
階段2つ分($2\times(1+2+\cdots+n)$ 個のブロック)が、縦 $n$ ・横 $n+1$ の長方形にぴったり収まる。だから
これは少年ガウスが「1 から 100 の和」を一瞬で計算した方法($100\times101\div2=5050$)と同じ発想です。
3③ $\sum k^2$ — 三角形を3枚重ねる
$1^2+2^2+3^2+4^2$ を「数の三角形」で考えます。$k$ 段目に数 $k$ を $k$ 個並べると、 三角形全体の合計が $1{\cdot}1 + 2{\cdot}2 + 3{\cdot}3 + 4{\cdot}4 = \sum k^2$ になります。
この三角形を 120° ずつ回転させた3枚を作って同じ位置のマスを足すと、なんと全マスが同じ数になります。
重ねた後の全マスは $9 = 2\cdot4+1$。マスの個数は $1+2+3+4=\dfrac{4\cdot5}{2}=10$ 個。よって
一般の $n$ でも同じ仕組みで
4④ $\sum k^3$ — 正方形の中に隠れた3乗
1辺が $1+2+\cdots+n$ の正方形を、L字型(カギ型)に分割していくと、 $k$ 番目のL字の面積がちょうど $k^3$ になります。「▶ 分割を見る」で1枚ずつ確かめよう($n=4$)。
正方形全体の面積($=(1+2+\cdots+n)^2$)が、面積 $1^3, 2^3, \dots, n^3$ のL字にちょうど分割される。だから
「3乗の和 = 1乗の和の2乗」という不思議な一致には、こんな図形的な理由があったのです。
5公式を使ってみる(例題)
例題:$\displaystyle\sum_{k=1}^{10} k^2$ を求めよ。
解:公式③に $n=10$ を代入して
分子を全部掛ける前に、$\dfrac{10 \cdot 11 \cdot 21}{6}$ の段階で約分($21\div3=7$、$10\div2=5$)すると計算がラク:$5\cdot11\cdot7=385$。
- 公式②③④は下端が $k=1$ のときだけそのまま使える(下端が違う場合は第3章で扱う)
- ③の $(2n+1)$ を $(2n-1)$ と書き間違える
- ④の「2乗」を忘れて $\frac{n(n+1)}{2}$ のままにしてしまう
6練習問題
💡 ヒント
公式②:$\dfrac{n(n+1)}{2}$ に $n=10$ を代入。📖 解説
$$\sum_{k=1}^{10}k = \frac{10\cdot11}{2} = 55$$
💡 ヒント
公式③:$\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}$ に $n=6$ を代入。約分してから掛けるとラク。📖 解説
$$\sum_{k=1}^{6}k^2 = \frac{6\cdot7\cdot13}{6} = 7\cdot13 = 91$$ 分母の 6 と分子の 6 がそのまま約分できる形。
💡 ヒント
正方形のL字分割の図を思い出そう。「3乗の和」は「何の2乗」だった?📖 解説
$$\sum_{k=1}^{n}k^3 = \left\{\frac{n(n+1)}{2}\right\}^2 = \left(\sum_{k=1}^{n}k\right)^{\!2}$$ 「3乗の和は、1乗の和の2乗」。$n=2$ で検算:$1+8=9=(1+2)^2$ ✓
💡 ヒント
「5 を 100 回足す」という意味だった。📖 解説
$$\sum_{k=1}^{100}5 = 5\times100 = 500$$ 中身に $k$ がなくても慌てない。$\sum_{k=1}^{n}c=cn$。
💡 ヒント
$n=2$ を代入して $1+4=5$ になるか検算してみよう。📖 解説
正解は $\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}$。$n=2$ で検算すると $\dfrac{2\cdot3\cdot5}{6}=5=1^2+2^2$ ✓
まぎらわしい選択肢は符号違い・添字違い。検算のクセをつけると公式ミスに強くなる。最後の $\dfrac{n^2(n+1)^2}{4}$ は3乗の和(④)の展開形。